「毎日ちゃんと食べているのに、貧血と言われた」——
部活をしているお子さんを持つ保護者の方からよく聞く相談です。
医療機関(スポーツ内科)の栄養指導では、食事療法と鉄剤を併用することで1ヶ月で貧血が改善したケースを経験しています。
部活生も同じで、大切なのは「たくさん食べること」より「毎日続けること」です。
この記事では、貧血が起きる理由と、毎日続けられる食事のポイントをお伝えします。
なぜ「食べているのに貧血」が起きるのか
鉄分は、1回にまとめてとっても身体が吸収できる量には限界があります。
1食でたくさん食べるより、毎日3食コツコツととり続けることの方がはるかに重要です。
運動量の多いジュニアアスリートは、「食べているつもり」でも、一般的な推奨量では足りないことがほとんどです。
発育期に加えて競技による消耗が重なるため、意識的に補わなければ慢性的な不足状態が続きます。
女子選手は月経による損失も加わるため、さらにリスクが高くなります。
現場でよく見る貧血のサイン
鉄が不足すると、血液が酸素を運ぶ力が落ちます。
「練習量が足りないのかな」と思いがちですが、実は食事の鉄不足が原因のケースが少なくありません。
こんな状態が続いていたら要注意です。
・後半に急失速する、タイムが伸びない
・疲れがとれにくく、朝起きるのがつらい
・顔色が悪い、まぶたの裏が白っぽい
・息が上がりやすい、動悸を感じる
鉄分の種類と現場での使い分け
鉄分にはヘム鉄(動物性)と非ヘム鉄(植物性)があります。
吸収率はヘム鉄が15〜35%、非ヘム鉄が2〜8%と大きく異なります。
ただし現場で重要なのは吸収率より継続性です。
週に数回のヘム鉄と、毎日の非ヘム鉄を組み合わせることが現実的な戦略です。
まず食卓に毎日置いてほしい4食材
鉄分対策で大切なのは、特別なものを食べることより毎日続けることです。
まずは、難しい食事管理より先に、この4つを「毎日の食卓に欠かさない」ことを目標にしてください。
🥬 ほうれん草:加熱してかさを減らして食べると◎
🌿 小松菜:ほうれん草より調理しやすく、毎日使いやすい
🫘 納豆:朝食に1パック習慣化が理想
🥚 卵:1日1〜2個、毎日続けて
「この4つが毎日ある食卓」をまず作ることが、鉄分対策の土台です。特別な食材や高価なサプリを買う前に、この4つを毎日出せているかを確認してみてください。
保護者の方へ:お子さんが自分で選んで食べられるよう、テーブルに出ている状態を作ることが大切です。「食べなさい」より「食卓にある」環境をつくることが、継続への近道です。

鉄分食材一覧
鉄分にはヘム鉄(動物性)と非ヘム鉄(植物性)の2種類があります。吸収率はヘム鉄の方が高いため、両方をバランスよく取り入れることが大切です。
ヘム鉄◎(動物性):豚レバー・鶏レバー、あさり・しじみ、牛赤身肉、かつお・まぐろ
→吸収率が高い。週2〜3回取り入れると効果的。レバーが苦手な場合はあさりの味噌汁でも◎
非ヘム鉄○(植物性):ほうれん草・小松菜、納豆・豆腐・高野豆腐、ひじき・切干大根、プルーン・レーズン
→毎日続けることで補える。ビタミンCと一緒に食べると吸収率がアップ
その他:卵、枝豆、小魚(いりこ等)、ごま
→毎日の食事に取り入れやすい。おやつや弁当のすき間に活用できる
大切なのは「どれか1つをたくさん食べる」ではなく、複数の食材から毎日少しずつ積み上げることです。鉄は蓄積に時間がかかるため、2〜3ヶ月単位で継続することを目標にしてください。

吸収率を上げる食べ合わせ
同じ量の鉄をとっても、組み合わせで吸収率が変わります。
吸収を上げる組み合わせ:
・ビタミンC:ブロッコリー、パプリカ、キウイ、オレンジ。鉄と同じ食事でとると吸収率が上がる
・動物性たんぱく質:肉・魚・卵。植物性の鉄と一緒にとると吸収が促進される
・クエン酸:レモン汁やお酢。ほうれん草のおひたしにレモンを絞るだけでOK
吸収を下げる要因:
・タンニン:緑茶・紅茶・コーヒー。食事中や食直後に大量に飲むのは避けて
・フィチン酸:玄米・全粒粉。食べてはいけないわけではないが、鉄食材と大量に一緒にとらない
・カルシウムの大量摂取:牛乳を食事中に大量に飲む習慣がある場合は注意
部活後に緑茶をがぶ飲みする習慣がある場合は、水や麦茶に切り替えるだけでも鉄の吸収が変わることがあります。
お弁当への活用例:ほうれん草のおひたし+レモン汁、小松菜と卵の炒め物、ひじきの煮物+枝豆、あさりの佃煮ご飯。毎日の弁当に鉄食材を1品入れるだけで積み上げが変わります。
部活後に緑茶を大量に飲む習慣がある選手は、水や麦茶への切り替えだけで吸収環境が変わることがあります。
弁当・補食への落とし込み例
・ほうれん草のおひたし+レモン汁
・小松菜と卵の炒め物
・ひじきの煮物+枝豆
・あさりの佃煮ご飯
1食に鉄食材を1品入れる習慣を積み上げることが、2〜3ヶ月後の血液データに反映されます。
即効性を求めず、継続できる仕組みをつくることが指導のポイントです。

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